歯のはなし 2005年12月号

                      <試適には時間を充分とりましょう>

義歯が出来上がる日は、本人は勿論のこと、家族の人達も待ちわびていて、すぐに口元を見ようとします。
まわりの人に「口元がきれいになったね。」「若返ったようね。」と言われるととても嬉しそうな表情で安心します。
 ところが、逆に「年寄りじみて見えるね」「シワが増えている感じよ」「歯が大きすぎるみたい。」などと言われると、本人は試適(※完成前の最終的な調整―洋服で例えると試着から仮縫いをして調整する段階のこと)の時には納得したにもかかわらず、とてもショックを受けて、暗く落ち込んでしまい、時にはもう一度となりますと、この場合には、初めから作り直すことになりますから大変です。
 義歯だけでなく、例えば、洋服やスーツなどをオーダーメイドする際にも同じ事がいえるでしょう。試着の時に、大きな鏡の前で、自分自身だけでなく、他の人達にも見てもらうと良いかと思います。私たち医師は一般的に患者さんの同意を得てから次のステップへ入ります。
同じように試適の際にも、第三者に立ち会って見てもらうことによって、より満足のいく仕上がりにつながると思います。試適の段階では、義歯はろう状ですから、自由に前歯部を並べ替えたり、歯肉の盛り上がりをワックスで足したり、削ったりして、口元や顔のバランスを観察しながら調整することが可能です。
どうしても個性的な配列を希望する人は、人工歯が少々乱れた方向や、形、色、厚さや、上下の歯の重なりの程度など、項目は色々あります。
このように、初めて義歯を作るときには、患者さんはある種の不安を持ったり、また違和感があることも事実です。
小さい部分義歯を入れている人は、それの不都合を更に改善することでコミュニケーションも比較的スムーズにいくものですが。いずれにしても、完成後からがスタートのようなもので、義歯は操作中に小さな変形などがあるため、患者さんの下顎運動に調和した咬み合わせなどのチェックをするために、数日間は微調整が必要です。