歯のはなし 2005年10月号

<バネのついた義歯 パート1>

 バネのついた義歯を長い間入れていますとバネと歯の間に隙間が出来て、義歯ががたついてきて、粘膜面に強く当たったりして、時には咬みにくくなります。

 それは、歯ぐきなどに傷がついたり、炎症が起こるためです。もっと悪いのは、バネのかかっている歯が片側から押し付けられるため、歯そのものが、ゆらゆらしてきて骨をすり鉢状に吸収し、自然と歯が抜ける事もありますからご注意を!!

 私も、学生の頃は、義歯のバネはある意味でゆっくりと歯を抜く道具のようなものになるのかなあと考えた事もありました。

 義歯がゆるくなると患者さんは大変だと思い来院されますが、応急処置として咬んだ時に義歯がずれない様に、バネを締めなおしたり、義歯の内面に軟性樹脂で処置したりします。勿論、口の中はX線をとって歯や骨の吸収状態など、全身状態にいたるまでも、総合的に色々とチェックいたします。

 先日も50代の患者さんとの話の中で『若い頃は、会社も忙しく歯の治療期間もあまりとれなかったため、すぐ抜歯をして義歯を入れてもらいました。新しいうちは適合も良かったのですが、今は好物のすき焼きの中に入っているネギなども咬めなくなり、歯が1本1本となくなって毎日の食事もおいしく味わうことも出来なくなってきました』と、後悔している方がいました。
一般的に前歯部は唇を内側から支えていますし、臼歯部は頬を内側から支えて張りのある顔を作り、審美的にも大きな役割をはたしています。

 少なくとも笑ったときには歯が見えるくらいが、容貌についても重要な点です。ですから、バネの付いた義歯を入れている患者さんは特に、歯のまわりや義歯の内面のぬるぬるした細菌を、歯ブラシや水流ジェットなどで、きれいに清掃して欲しいものです。(つづく)