歯のはなし 2004年2月号
「つくづく思う歯の大切さ」
 
去年の12月の初め、右上の大臼歯付近が食事の後、一過性の鋭痛を感じるようになった。「おや」と思いながらもそのままにしておいたが、その後、いく度か繊維性の物を食べると歯にはさまるようになったので、その都度、その位置を舌で確認しては、はさまったものを取り除いていた。
  それから、2週間ぐらいしてから、舌で触れると「なんとなく、歯に小さな穴が開いたかな―」と感じながら、自分でセメントで応急処置をしておいた。
 いずれ、正月明けにでも「弟(札幌で開業)の手で充填してもらおう」と軽く考えていた。
 三週間ぐらい経過した頃、大好物の硬い炒り黒豆をぼりぼり噛んでいたとき、突然右上の歯が急にしみてきた。その部分はちょっと物があたっただけでも、激痛が走るようになってきたために、仕方なく今度は左の反対の歯で食事を取るようにしていた。指先のハラで噛む面を軽く触れただけでも、痛みを感じたために、早速年末で帰省中の息子に、口腔内をチエックしてもらうと、なんと、「歯が割れているよ!」の声。何とか処置をして保存を試みてみたが、エナメル質が欠けて、刺激が象牙細胞を通って歯髄に達して歯が痛みを感じたのだった。深部にまで症状が進行していたために、とうとう抜髄する羽目になった。
 "紺屋の白袴"とか"医者の不養生"など以前から、よく耳にもし、理屈では充分理解して、日頃から注意もしていたつもりだったが、実行力が不足したのか、自分自身が不養生の結果を体験してしまうとは……..。
 自分では三十有余年以上も多くの患者さんに接して、良く「六ケ月毎の定期検診」の重要性を説き勧めていたのに、全く恥ずかしい気持ちで一杯ですが、恥を忍んでペンを持ちました。このことを患者さんにお話をしましたら、「先生も今までは歯は丈夫でしたが、患者さんの痛みがどんな風になるか分かつたですね」といわれました。