歯のはなし 2003年10月号
<あご(顎)がはずれたよ>

 突然、「今友人のあごが外れて、閉じないのですが・・・・診てください。」と休日の夜電話が入り、早速顎関節の前方脱臼を正常の状態に戻しました。通常痛みは激しくなくても、口が閉じないと困ります。
口を開けたり、硬い物を力を入れて噛んだりすると、耳の穴の前の部分が痛くなることがあります。一度両耳に指を入れて口を開けたり閉じたりしてみてください。すると、指先に顎の関節の所の運動がスム−ズになっているかどうか、ある程度自分で感じとることができると思います。我々は日常生活の中でかなりの数で、口を開けたり、閉じたり繰り返しています。また年を取るにつれて代謝機能が衰えて、顎の関節も変化してきます。顎は左右のバランスが非常に大切になってきます。 
手や足の関節は、蝶番運動で、一つの回転軸を中心に動く運動ですが、顎の関節は、手足のそれとは異なって、下顎骨は馬蹄形の骨で左右一体となって、滑走運動が加わるようになっています。
 すなわち側頭骨と下顎骨を連結する関節の間に衝撃を和らげるクッションの役割をする、関節円板などがあって、下顎の運動はその円板などを介して前方、側方へと色々な運動を可能にしています。
顎関節脱臼は片側または、左右の下顎頭が関節結節を乗り越えて、側頭骨の下顎窩から移動した状態で、元の関節のへこみに戻らなくなり、閉口不能となります。
 顎関節脱臼の大部分は、前方脱臼ですが、きわめてまれに、後方の外力による後方脱臼のこともあります。その他に、下顎骨の骨折に合併した側方脱臼などもあります。
 しかし、一番多い原因は、過度の開口したときで、例えば,大きなあくびや大笑いしたり、歯科治療中にも長時間にわたって大きく開けすぎたために、はずれることがあります。
 また、人によっては下顎窩が浅く、下顎頭が平らで低くなった場合、顎関節脱臼を繰り返すと、習慣性顎関節脱臼などになったりしますので、早期に治療された方が良いでしょう。