歯のはなし 2003年9月号

歯垢の中の細菌

「ああ 歯の一部が欠けてしまった」と心配そうな顔をしてティッシュペ−パ−などに包んで、もって来た物を見るとそれは何と大きな固い歯石の塊でした。説明するため歯石の内部を割ってみると表面のでこぼこした細菌の塊でした。

 患者さんはホットすると同時にびつくりし、その後は、6カ月毎に定期的に歯石を取りに来院され、歯はもちろんのこと、歯肉もピンク色に引き締まり血も膿も出なくなり安定してきました。

 歯の表面を爪楊枝の先で軽くこすると軟らかい白色のカスが付きます。それを約1000倍の顕微鏡でテレビを介してモニタ−画面に映し出して見ると、丸い形、細長い棒状、ラセン状等いろいろな形の細菌が多数運動しているのが観察できます。患者さんはこれを見て「ああ、何これ、気持ちが悪い」等と言います。歯垢は食べカスだけでなく、口腔内の細菌が柔らかいネバネバした色々な糖代謝過程で出来た細菌のかたまりです。

 歯垢は時間がたつと、歯と歯肉との隙間に入り込んで、周りの組織を刺激して、炎症や骨吸収を引き起こして歯周病などの原因となることは、いまや雑誌やテレビなどからもお分かりのことと思います。我々歯科医師は、歯垢を染め出して、歯垢のチャ−トに良、不良を記録して、口の中の清掃状態を調べます。口の中の汚れは、綿棒の先に少量の染色液を歯の周りや、舌の上などにこすりつけ、その後、うがいをして染まっているところが汚れであるため自分でもよく分かります。染色液はかかりつけの歯科医院で購入できるでしょう。

 歯間ブラシや糸楊子で口の中の汚れをとる方法もあります。うがいすると、表面はきれいになりますが、基本的には歯ブラシで軽く歯肉をマッサ−ジをして、特に11本小刻みにブラシの毛束を表面に直角にあて、毛が曲がらない程度の軽い力で磨くことにより予防出来ますが、歯の表面を舌で触ると、自分でどこがきれいになったか違いが、はつきりと分かることでしょう。

 柔らかい歯垢を放置すると石灰化して歯石へと変化しますので、歯垢は歯石が出来る前に取り除かなければなりません。

 頑張ってください。