歯のはなし 2003年7月号
<患者さんとの会話>    
 高齢者が来院した時の会話で、患者さんは「私の歯は後3年、いや5年間持てば充分ですよ」と冗談とはいえ、こんな言葉をポロリと洩らす老人は少なくありません。
 なぜ自分の余生を後何年と決めるのかは不思議な感じがしてなりません。これ以上、歯に繰り返しお金をかけたくない気持ちはわかるのですが……..。
 我々は患者さんの健康と、毎日の幸せな生活を願いながら診療を繰り返しているのですが。
 歯が丈夫ということは、よく噛んで食べても美味しいものですね。
「先生の歯は全部自分の歯ですか?」と尋ねる患者さんもいます。返事は「ハイ、右下の奥親知らず(第3大臼歯)を1本抜いただけで現在31本ありますよ」と言って、口を開けて見せてあげることもあります。
 確かに遺伝学的に父母よりもらった歯は丈夫で感謝しています。友人の歯科医でもかなり歯が抜けている人もいますが運、不運もあるのかなあと考えさせられることもあります。
 自分の歯でどんなに固いものでも味わって、ゆっくり楽しんで食事が出来るのは幸せだなあと改めて感じる今日この頃です。
 先日も「先生、歯の噛み合わせが原因で病気にもなるって本当ですか」と聞く患者さんがいました。確かに長時間噛む位置をずらして物を噛んだり、同じ箇所で毎回噛んでいると口元や顔がゆがんでくるだけでなく、頭痛、肩こり、耳の周りが痛くなったり体のわずかな骨格のゆがみなども噛み合せの異常が原因で起こってくることは事実です。また、何もやる気が起こらない、無気力になる人もいるようです。
 日常より噛み合せは大切で、長い間に咬合は少しづつ変化するものです。上下の歯が治療されているかどうかに関わらずバランスよくしっかり噛むように願っています。
 軟らかい加工食品の増加のためよく噛まない人は、歯がぐらぐらしてきますまた、歯の噛み合わせが悪い時は、更にそこをかばって無理に工夫して噛むため顎がずれてきます。特定の筋肉に負担をかけて、顎や体のあちこちに様々な障害を生み出さないようにしたいものです。ご注意を?