歯のはなし 2001年10月号
<死体は語る>

歯は個人識別のため重要な情報をもたらします。
歯科医師は飛行機墜落事故、大規模な火災、バラバラ死体の身元不明者を見つけるのに警察より歯の照合として依頼されることがあります。

白骨死体などの身元を確認するため、生前情報の歯科医の治療記録、歯の模型、X線フイルムなどが決め手になります。一般に死体が白骨化する場合,温度などの環境により変わりますが、地上では進行が早く1年以内、土中では約8年位といわれています。さらに年月がたつと骨は風化して消失するが歯は残っています。

 骨の個人識別として、DNA型検査、指紋、血液型などいろいろと調べてその人が住んでいる出身地、職業、年齢などについても手掛かりの一つになることもあります。

 昔の大工さんはクギを口にほおばり、歯で11本抜き出したりすると、刻み目ができたりします。職業的には硫酸工場などで働く人は亜硫酸ガスが直接原因で下の前歯部のエナメル質が溶け、表面が白濁する特徴があり歯牙酸蝕症にかかったりもします。歯は健康な歯?虫歯?治療歯?欠損という運命をたどります。

 また、歯の咬耗度やX線検査からも年齢推定がある程度わかります。いろいろな材料が口の中で詰められていたり、かぶせてあったり、義歯などによっても個人の識別が役立ちます。これらの身元確認は裁判にも、死者の人権を守る上でも重要な役割を果たします。

 我々も警察歯科医として登録している人たちと協力しあっています。